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廃れゆく部屋

皆さん、廃でお会いしましょう


In 11 2019

Category: 廃れゆく施設   Tags: ---

うつろい診療所




以前なにかの雑誌で読んだ言葉、「旅と旅行は違う」。

コレ、なんとなく判るような気がする。


「旅行」っていうのは、なんつーかこの・・・仲良しの二人以上で観光名所行って。

ほんで写真撮って美味いもん食ってお土産を買う。


じゃけど「旅」っていうのは・・・そう、寅さん。

目的地などなく、風の吹くまま気の向くまま。

「寅次郎 あじさいの恋」で、かがりさんに「もう会えないのね」と言われた寅さんが、

「いやあ、風がな・・・また風が丹後に吹くこともあらぁな。」と言うシーンがあった。

ま、それはともかくとして今年の4月の事になるが、僕はバイクで山陰へ向かった。


今回は廃墟探索ではなく、あくまで2泊3日のバイクツーリングだったのだけど古い町並みを見るとどうしても目が探してしまう。

通り掛かった60歳くらいの女性に訊くと近くに診療所だった建物があるらしい。


通りから外れた山へとのぼる坂道を少し進むと・・・・



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4月とはいえ、山陰の春は肌寒く診療所に絡まる蔦の葉もまだ落ち着いていた。

しかし夏になるとこの蔦の葉は建物全体を覆い、診療所をまったく違う姿に変えてしまう。





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向って左手の壁は惜しくも崩壊し、その内部を晒している。

僕はバイクを停めて念のため持って来ておいたカメラをいそいそと取りだした。




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周りに民家があるのだけど少し離れていて、そして子供がいないせいか静まり返っている。

僕がカメラを操作する音だけが山にはね返って聞こえてくる。

実はこの建物がいつ頃建てられたものか、当時を知る方がおらず判らなかった。

というよりもこの地域では誰もこの物件など興味もなく、もとより打ち捨てて顧みる人はいなかった。




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結核予防法指定診療所のプレート。

建てられたのは、恐らく大正時代から昭和のはじめだと思う。(知らんけど)

45年前にこの地域に嫁がれた方が言うにはその時はもう廃墟だったよと。





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入って右手には受付兼クスリ渡し口。

左手には手術室があった。



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しかし壁が崩壊したせいで、手術室は扉を開けたらすぐ屋外という状態。

グスン・・・(´;ω;`)


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手術室の奥にはさらに扉がありそれは・・・

検査室だった。

でもなんにもない。




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この物件は残留物は全くない。

最初はそれが残念で仕方が無かったが、探索していくにつれてこの物件がもつ

廃墟美というか様式美に魅せられた。







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玄関入り口を振り返る。

こんなに撮っていて楽しい物件はなかなか出会えない。

ただ、もっと上手に撮ってあげたいがそれは無理なので勘弁してちょーよ。



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薬室はドアが硬くて開けられなかったのであきらめた。

窓から覗くとたしか何もなかったと思う。





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後から分かった事だけど、この物件はもともと村役場として建てられた。

(建築好きは外観をみて納得するかもしれない)

その後役場が中心部へ移り、残された建物は診療所として活用された。

しかしその頃の正確な時期については誰も知らなかった。

公民館に行けば移設された時期が分かるかもしれない。




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この取って付けたような室名札も、もともと村役場だったということで胸にストンと落ちる。


落ちた床を超えていくと内科の診察室がある。



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この洋風天井の漆喰飾りが大好きなんよ。

ほんでこの上げ下げ窓が大好きなんよ。

役場の時代には応接間で診療所の時代には診察室になったんやろか。




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一旦廊下へ出る。

老朽化は甚だしい。

僕が探索する物件はそもそもそういう物件なのだけど、いつまで建っているだろうか。




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100年くらい前に作られた、この素敵な階段を一段一段のぼることのできる幸せ。





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階段を上った先にどんな景色があるのか、想像しながら進む幸せ。





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階段を上った先にあったのは、どっこい生きてる「ど根性カエル」でした。




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その向こうにはベッドが。

この建物は、「村役場」⇒「診療所」となったあとに個人に買い取られ「自宅の離れ」として使われてたそうな。

その期間は短かったみたいだけどこのベッドはその時のものだろう。




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男の子がいたのか。

少しほっこりする。

しかしよくよく考えてみると、部屋に「手術室」とか「診察室」とか室名札を付けたままで住んでいるというのは

家族としてどういう心境だったのだろうか。

機会があったら聞いてみたい。





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ん?壁にはなにやら横文字が。

レオナルドダヴィンチって書いてあるの??

どうやらここの男の子は成長して芸術に身を投じたらしい(そういうことにしておこう)。



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先程の一階の凸凹廊下を戻りつきあたりの階段を上る。




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階段を上ると、その先は例の壁が無い部分なので気を付けないとね。

しかし訪問してから半年経つので正直どういう順番で回ったのかわからん。




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役場だったころは別の課があったのか、そして診療所だったころは入院患者がいた部屋だろうか。

「松高白鶴眠」大変おめでたい言葉だそう。初めて知った。

勉強になるなぁ。




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この部屋の左の壁は隣の部屋との間仕切りになっているのだけど、

窓と壁との間隔がどう見ても不自然で、これはあとから作られたものだろう。

天井が落ちたおかげで屋根の下部がトラス構造だと判った。



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壁が落ちている場所に来た。

しかしよく見ると右手には欄干のようなものが見える。

ひょっとしたらここの部分だけ、もともとバルコニーがあり壁は無かったのかもしれない。

当時の写真が見てみたかった。






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そこには回虫がまるでのたうち回っているような景色があるのでございます。




ここは本当に残留物や手術器具など一切なく、いわゆる「廃医院」を期待すると肩透かしを食らう。


でも「空空寂寂」とはまさにこの建物のことだ。

何もないおかげで、何ものにも囚われないで探索できた。

こんなにじっくりと建物そのものを見たのは久しぶりな気がする。



僕はカメラを片付けてバイクに跨った。



今回はツーリングに来たはずなのに、結構な時間をここで過ごしてしまった。


でも寅さんの言うように、旅は風の吹くまま気の向くままってことで。


また風がここに吹くこともあらぁな。



さようなら、うつろい診療所。




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~後記~
このうつろい診療所というネット名は発見者Ryanbeatsさんに名付けてもらいました。
ありがとうございました。



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11 11 ,2019 Edit


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